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情報家電 普及のポイント


 地域に情報家電を導入し普及させる上でのポイントの概要を以下に示します。
なお、下記のダウンロードにより、導入マニュアルの全文をご覧いただけます。


PDF(1349KB)A4×76頁
「導入マニュアル」をダウンロード




1. 自治体として検討すべき点



2. 情報家電導入のプロセス



3. 情報家電の導入方式を決める



4. 効果検討



5. 成功させるための要素





1. 自治体として検討すべき点


 情報家電は一般的に、各家庭(個人)で利用することが想定されている機器です。しかし、この情報家電を今後、地域における課題を解決するための手段、あるいは地域の生活や利便性を向上させるための手段として活用することは、おおいに有益であると考えることができます。つまり、情報家電は、自治体が公共的サービスを提供するためのひとつの機会(ツール)であると捉えることができます。

 情報家電サービスは、(1)コンテンツ、(2)機器・アプリケーション、(3)通信インフラの3つに分けて考えることができます。自治体として情報家電を導入する際には、このうち、(1)コンテンツ、(2)機器・アプリケーションについて、検討する必要があります。言い換えると、(2)機器・アプリケーションは情報家電機器そのもの、(1)は、その情報家電機器を利用することで提供されるサービスと捉えることができ、これら(1)(2)を合わせたものが情報家電(サービス)となるわけです。



自治体として検討すべき点

 (1)コンテンツ(あるいはサービス)は、自治体が提供することもあれば、民間企業その他の組織・団体が提供することもあります。自治体が提供するコンテンツの例としては、遠隔相談(医療、健康、子育て等)や、市民サービスの一環として、たとえば役所の窓口にテレビ電話を設置して住民宅とテレビ電話でやりとりするなどが考えられます。

 (2)機器・アプリケーションは、通常メーカーから自治体が調達します。

 (3)通信インフラは、通常は民間が提供するサービスを住民が利用すると考えます。ただし、自治体の情報化施策等で自治体自身が通信インフラを提供している(または、提供予定である)場合は、自治体の情報化計画とあわせて通信インフラについても考える必要があります。



2. 情報家電導入のプロセス


 次に、情報家電導入のプロセスについて説明します。情報家電導入のプロセスは、以下の図に示すように大きく、(1)調査、(2)計画・設計、(3)設置・運用の3つの段階に分けることができます。(1)調査では、「地域の課題・特性の把握」「地域ニーズの把握」「導入の目的の明確化」を行います。(2)計画・設計では、「予算・スケジュール・体制」「情報家電の導入方式」「導入する情報家電の候補」「導入する情報家電」「調達内容・方法」を決めます。そして、(3)設置・運用で、「設置」および実際の利用にあたっての「運用・保守」を行います。

 運用を開始し、一定期間を経たら、情報家電導入の効果について測定・検討します。そして、次のフェーズへつないでいくようにします。






3. 情報家電の導入方式を決める


 情報家電を導入するにあたり、まず「導入する情報家電の候補を決める」必要があります。そして、その候補から、実際に「導入する情報家電を決める」ことになります。このようにして自治体として導入する情報家電を決める場合、(a)単一メニュー方式、(b)メニュー選択方式、(c)併用方式の3つの導入方式が考えられます。

(a)単一メニュー方式
 「単一メニュー方式」は、「導入する情報家電の候補」および「導入する情報家電」を自治体が決める方式です。公共性の高い情報家電サービスを提供する場合にこの方式を選択することが考えられます。

(b)メニュー選択方式
 「メニュー選択方式」は、「導入する情報家電の候補」を自治体が決め、その候補の中から「導入する情報家電」を地域住民が自ら決める方式です。“家電”という特性に注目し、押し付けにならないようにする方法であり、より住民の生活に密着する情報家電を導入する際はこの方式を選択することが考えられます。

(c)併用方式
 「併用方式」は、単一メニュー方式とメニュー選択方式の両方を採用して情報家電を導入する方式です。複数の情報家電サービスを導入する場合に、この方式を採用することも一つの選択肢となります。

 メニュー選択方式と単一メニュー方式の違いを図式化して示すと、以下のようになります。



 以下は、単一メニュー方式とメニュー選択方式の長所・短所を簡単に整理したものです。

表1 単一メニュー方式とメニュー選択方式の長所・短所


長所
短所
単一メニュー方式
・住民に均一なサービスを提供できる。
・住民は、自分のニーズに沿った情報家電の選択ができない可能性がある。
メニュー選択方式
・住民一人一人のニーズにマッチした情報家電を選ぶことができる。
・自治体にとって、情報家電導入・運用・保守のハンドリングコストが高くなる。


4. 効果検討


 情報家電導入後、一定期間を経たら、フォローアップを行い、情報家電導入の効果を測定・検討します。

 効果の測定・検討としては、アンケート調査やヒアリング調査を行う方法があります。これにより、情報家電サービス利用に関する住民からの感想やコメント、意見のフィードバックを得ることが重要です。情報家電の導入前と導入後にアンケート調査やヒアリング調査を行うことで、事前・事後の比較分析を実施するのもよいでしょう。また、問合せ内容のデータを蓄積し、集計・分析することも有用です。

 このようなフィードバックをもとに、情報家電導入の効果を測定・検討し、次のフェーズへつないでいくことが重要です。




情報家電導入から発展へのイメージ



5. 成功させるための要素


 情報家電の導入・普及を成功させるための要素を、以下に示します。
  • 利用して初めて価値を実感
     情報家電はまだ普及段階にありますので、実際に利用してみて初めて、何が便利なのか、どのように役立つのかが実感できるサービスであることを認識しておく必要があります。このことを念頭におき、「まずは利用して試してみる」という考え方が大切です。このことが、普及のポイント2で示した「段階的に導入」するという点になります。

  • 「付加価値サービス」の導入であるとの認識
     情報家電の導入とは、情報家電と呼ばれる機器類を導入するということではなく、情報家電の利用によって提供される「付加価値サービス」を導入することです。したがって、どのような「付加価値サービス」を導入するのかという視点で選ぶことが大切です。

  • 地元の意欲と強力なリーダーシップ
     地域への情報家電導入に際しては、積極的で意欲のある推進者の確保が必須です。そして、このような推進者による強力なリーダーシップのもと、地元住民や地元関係各種組織・団体等と連携をとって進めていくことが必要です。

  • 認知度の向上に向けた普及推進活動
     情報家電の普及には、情報家電に対する認知度の向上が不可欠です。一口に「情報家電」といっても、多くの人々の情報家電に対する地域は「なんとなくイメージは沸くが、はっきりとは知らない」「言葉は聞いたことがあるが、実際には知らない」という程度でしょう。また、「便利そうだ」という印象は持っていても、具体的にどのように便利であるかを実感している人はほとんどいないと考えられます。

     情報家電をよく知らない住民は、さまざまな不安を持つ可能性があります。たとえば、「セキュリティ対策やプライバシー保護は万全なのか」「便利というが、実は使い方がむずかしいのではないか」「便利だとはいっても、サービスを利用するには高いお金がかかるのではないか」などがあげられます。

     したがって、情報家電とはどのようなものか、情報家電によってどのようなサービスが利用できるのか、それはどのような利便性があるかを理解してもらい、さまざまな不安を解消してもらうための普及推進活動が欠かせません。

  • サポート・保守体制の充実
     情報家電の導入・普及のためには、問合せ対応などを含めたサポート体制に留意し、サポートを充実させることが重要です。そして、その情報家電機器・サービスが利用者にとって「日常的に使えるもの」「壊れても安心なもの」であることが大切です。

     コンテンツ、機器・アプリケーション、通信インフラの3点がそろわないと、情報家電は利用できません。言い換えれば、情報家電はネットワークに接続してサービスを受けることでその真価が出るものであり、従来の家電製品と異なり「売っておしまい」「製品を渡しておしまい」にはならない可能性が高い製品・サービスです。

     そして通常、コンテンツ、機器・アプリケーション、通信インフラを提供する事業者はそれぞれ異なっています。そのため、情報家電サービスを利用していて問題が生じたときには、コンテンツ、機器・アプリケーション、通信インフラのどの部分に問題があるのかを見極めて、適切な窓口に問合せをしなければなりません。

     しかし、問題が生じたとき、情報家電サービスの利用者がその問題はどこにあるのかを判断して適切な窓口に問合せをし、問題を解決するというのは、現実的ではありません。多くの場合、利用者は何が問題なのかはわからないからです。

     したがって、何か問題が生じたときに受け口となる「一元窓口」を設けることが理想的です。この一元窓口で問題の一次切り分けを行い、適切な担当者に話をつなぎ、問題を解決していくことで、利用者は安心して情報家電サービスを利用することができるようになります。

  • 費用負担
     コストは誰が支払うのかについて、きちんと整理することが大切です。とくに、地域住民にはどの部分をどの程度費用負担してもらうのかは、導入した情報家電をその後きちんと活用してもらえるようになるかどうかと密接に関係しています。

     たとえば、試験運用期間は、ネットワーク接続費や提供されるサービスの利用料をプロジェクトの費用で賄うことができる可能性がありますが、実験が終わり本格稼動を行う段階になったとき、これらの費用を誰が負担するのか(できるのか)、自治体が負担するのか、住民が負担するのか、あるいは、自治体と住民で按分して負担するのかなどを考えなければなりません。

     利用者にとって、「安く使える」ことは重要なポイントです。













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